高島六小卒業式 晴れやかに  

DSC_0043.JPG
2025(令和7)年3月25日に板橋区立高島第六小学校(高島平1)の卒業式が行われ、60名の児童が卒業証書を手にしました。ソメイヨシノの花がほころび始め、春の陽を浴びながら晴れやかに学び舎を巣立ちました。

DSC_0058.JPG
卒業生は名前を呼ばれるとしっかり返事をして前に進み、寺内崇校長より卒業証書を授与されました。成長した我が子を見つめる保護者の喜びはひとしおです。

DSC_0073.JPG
自己肯定感を高める学校つくりを進める寺内校長は「あるがままの自分を受け入れ相手を受け止め、互いにとって豊かな未来をつくり出してゆく励まし合い、そんな教師と小学生のつながりが高六小にはあります」と話し、「人はありがとうの数だけ賢くなり、ほめられるだけ優しくなる。そして、さようならの数だけ愛になる。卒業生のみなさん、別れの時です。心を込めて伝えます。さようなら」と式辞を贈りました。

DSC_0134.JPG
大学や専門学校の卒業生にすっかり定着した袴スタイルは、全国的に小学生に広がっています。板橋区内の公立小学校でもその人気は上昇傾向にあり、例年男女とも和装の児童が見られます。

今年の高六小は卒業生、教諭、来賓、関係者に和装の姿があり、厳かな式典に華やかな雰囲気を添えました。

六年生担任の教諭は水色のキモノに濃色の袴とブーツを合わせ、満面の笑顔で花のアーチを進みハイタッチをしながら卒業生を先導します。



DSC_0160.JPG
花束を用意して卒業生の門出をキモノで祝福します。

DSC_0205.JPG
袴スタイルの卒業生と担任の先生の喜びあふれる記念のスナップです。

DSC_0210.JPG
当日の着付けについて卒業生の母親に尋ねると、この衣装は上半身のキモノと下半身の袴が合体しているワンピース式なのでとても簡単だったそうです。ハンドメイド品で、ネットのフリマで購入したそうです。和装は帯の緩みや紐のたるみで着崩れが心配です。画期的なアイデアで着崩れとは無縁なつくりです。

DSC_0212.JPG
和装には草履が定番ですが、ブーツや靴との組み合わせもなじみます。ソックスにローファーを履いて足元は軽快です。

DSC_0235.JPG
正装の校長先生は卒業生からも保護者からも記念撮影のオファーが続きました。

DSC_0810.JPG
高島平きものしんぶんが、板橋区立小学校の卒業式に袴スタイルで臨む小学生を初めて取材したのは2012年でした。家族のキモノを用い、袴は知り合いから借用したので「ほとんど費用は掛からなかった」と母親は説明してくれました。

以降、小学校の卒業式で袴スタイルを見ることは増え男女の半数近くが和装のところもありました。「中学校だと制服になるので、小学校卒業のときが袴を着るチャンス」という保護者の声も聞かれます。今年の卒業式の朝も、母親と袴スタイルの子どもが学校に向かう姿を見かけました。

関西では、数えの13歳になる子どもの成長を祝う行事に「十三参り」(じゅうさんまいり)があります。虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)にお参りして知恵を授かり、福徳を願います。京都嵐山の法輪寺が発祥とされていますが、虚空蔵菩薩の安置にかかわらず多くの寺社が十三参りを受け付けていて、小学校を卒業する春に行う家族が一般的です。

着用するキモノは大人サイズで必ず肩揚げをして、お参り後にほどき大人の仲間入りとします。

関東ではなじみの薄い行事ですが、浅草寺では年中行事として4月中旬に十三参りの祈祷を行なっています。

小学校の卒業式での袴着用は、趣旨は異なるものの十三参りと通じる想いがあるのではないでしょうか。6年間学業を修め大人への入り口に立てた成長の喜びと、大きく羽ばたく決意を表すお披露目と見れば意義ある姿といえます。

十三参りは「大人のキモノ」を肩揚げでサイズ調整をして着ます。家族が所有する物を活用するのですから費用はかからず合理的です。併せて伝統文化の継承につながります。12年前に取材した母娘は本来の行いを形にした好例と映ります。

和装の所作を押さえて、着心地を体感したうえで卒業式に臨むよう心得れば、思い出深い一日になるはずです。


この記事へのコメント